ナルコレプシーを精神保健福祉士の視点から見る

ナルコレプシー=居眠り!?

ナルコレプシーは多くの人に浸透し始めています。大きな誤解があるのも事実です。ある日、電車の中で女子高生がこんな会話をかわしていました。

「昼ご飯食べたら眠くて!授業中、ずっとウトウトしっぱなしだったよ。」
「え、それってナルコレプシーってやつじゃない!?」

私は精神保健福祉士として、数多くのナルコレプシー患者さんに関わってきました。患者さんのほとんどが、ナルコレプシーに対する周囲の無理解に苦しんでいました。

ナルコレプシーは「居眠り病」「過眠症」とも呼ばれています。「居眠り=ナルコレプシー」と誤解している。先ほど取り上げた会話は、決して珍しいことではないのです。

ナルコレプシーってなに?

ナルコレプシーに関しては、インターネット上でいろいろな説明がされています。しかし、
情報源がはっきりしていない、不確かな情報である場合があります。

ナルコレプシーを知る上で、私がおススメするのは専門医が実際使っている手引きです。専門的な用語が並び、硬い印象もあります。情報源の信頼性に関しては、右に出るものはありません。

専門医がよく使う手引きに「ICSD-2」があります。米国国際睡眠医学会が各国の専門家とともに作った手引きです。ISD-2にはナルコレプシーの症状として、以下の2つを挙げています。

ナルコレプシーの主な症状は?

(1)最低でも3ヶ月の間、ほとんど毎日、過度の日中の強い眠気があったかどうか?

ポイントは「ほとんど毎日」と「最低でも3ヶ月の間」です。徹夜明けの寝不足や、一過性の眠気は

(2)大笑いや冗談によって、情動脱力発作が引き起こされたかどうか?
※情動脱力発作って?
「情動」とは喜怒哀楽のことです。情動脱力発作は強い喜怒哀楽を感じたときに、軽い脱力感をおぼえたり、ストンと力が抜けて身動きが取れなくなる発作です。

ICSD-2では、喜怒哀楽のなかでも大笑いや冗談によって、発作が起きるかどうかを重視しています。情動脱力発作が起きないナルコレプシーもあります。

周囲の偏見、無理解に苦しむナルコレプシー

ナルコレプシーの代表的な症状は「過度の日中の強い眠気」です。社会人として働いている人は、大事な仕事の場面でさえも居眠りしてしまいます。

上司にこっぴどく怒られて、仕方なくナルコレプシーであることをカミングアウトするケースに、よく出会いました。

しかし、カミングアウトしても「眠気は誰にだってある」「病気のせいにするな」「社会人として自己管理がなっていない」という心ない言葉が返ってくることがあるのです。ナルコレプシーは、睡眠障害の症状と周囲からの偏見、無理解との闘いでもあるのです。

専門医師から、早期に治療を受けることが大切です

ナルコレプシーは決して本人の自己管理の問題ではありません。また睡眠障害のひとつであり、専門医師による診断と治療によって治る病気です。

しかし、専門医師が少ないことから、確定診断が出るまでに長い年月を要することがあります。決して不知の病ではありません。専門医師との出会いと、早期に適切な治療を始めることが大切なのです。

辛い症状を緩和するために適切な治療を受けるためにどうしたらよいのか、精神保健福祉士の視点から紹介していきます。

なぜ専門医師なのか?

「睡眠障害の専門医師」に受診することをおススメします。近所の心療内科ではダメなのでしょうか?ナルコレプシーの診断は経験を積んだ専門医でないと難しいのです。

なぜなら「うつ病」など他の疾患と誤診される可能性があるのです。これは患者と医師の双方に責任があります。例えば、新しいうつ病と呼ばれる「非定型うつ病」は、代表的な症状のひとつとして、過眠が表れます。

一方、ナルコレプシーの患者は、二次的にうつ症状が出ることがあります。患者が「過眠傾向で、気分が落ち込む」と受診のときに話せば、非定型うつ病と誤診されるケースがあるのです。

うつ病の治療に使われる抗うつ薬は副作用の代表格として眠気があります。間違った治療により、ナルコレプシーの患者がよけい症状を悪化させてしまうケースがあるのです。

専門医は他の疾患の可能性がないか、精査した上でナルコレプシーの診断をします。

専門医師ってどうやって探すの?

いざ専門医師を探す時、検索キーワードに「ナルコレプシー 専門医師」と入れてしまうことはおススメできません。ナルコレプシーの専門医師ではない場合があるからです。

私のおススメは日本睡眠学会が認定した医療機関を受診することです。学会とは、医師にとって研鑽と勉強の場です。学会に所属していると、最新の治療法などの情報も入りやすくなるのです。

日本睡眠学会のホームページに「睡眠医療認定医リスト」が記載されています。ぜひ参考にしてみてください。受診の際は飛び込みでいくのではなく、事前に電話連絡するようにしてください。

受診の前に整理しておきたいこと

受診の前に症状に関する情報をまとめておきましょう。問診のときによく聞かれるのは、
主に以下の3点です。

  • いつごろから?
  • どんな場面で?
  • どのような症状が?

特にいつごろから症状が続いているのかは、医師が診断する上で欠かせない情報です。診察のときにすぐ答えられるように、正確な時期を事前に把握しておきましょう。

ナルコレプシーの治療は?

代表的なのは「投薬治療」です。昼間の眠気に作用する薬が処方されます。使われる薬は
リタリン・モディオダール・ベタナミンの3種類です。

特にリタリンは、「頭が冴える」などのクチコミが広がり、乱用が問題になりました。インターネット上のクチコミなどの情報に惑わされず、医師の判断を仰ぎましょう。

夜は眠り、昼は起きるという安定した睡眠リズムをつけるために睡眠薬が処方される場合もあります。

症状とうまく付き合っていきましょう

ナルコレプシーの治療を進める上で、意外な妨げになるのが患者さんの焦りです。投薬治療は効果が出るまで、一定の時間が必要です。薬さえ飲めば、翌日には魔法のように全ての症状がゼロになると思っていた、と焦る声も聞かれます。

薬は飲み続けることではじめて効果が表れます。勝手に薬をやめたり、量を増やしたり、しないようにしましょう。気長に、医師の処方を守った正しい服薬を続けることで症状は緩和されていきます。根気強い治療が必要です。

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