ナルコレプシー患者の25%は金縛りに遭っている

ある雑誌の霊感に関する項目で「あなたは金縛りに遭ったことがありますか?」という調査を見たことがあります。
150人位の若い世代の調査でしたが「ある」と答えた方が3%位でした。
若い世代では「金縛り=霊感」という認識が上記の雑誌をみても分かります。

またテレビなどでも「私は霊感が強いから知らない場所に行くと時々金縛りに遭います」というタレントさんの話も耳にします。
皆さんの中にも金縛りに遭ったという人がいるのではないでしょうか。

金縛りの原因

そもそも金縛りとはどういう状態になることでしょうか。
金縛りとは医療用語でいう睡眠マヒという状態で寝入りばなや覚醒時の状態の時に筋肉が弛緩し全体が虚脱状態になってしまうことです。

この時には体が動かない恐怖心から自分が普段潜在的にもっている非科学的な連想が働き鬼や幽霊などの幻覚をみてしまうのです。
このことで金縛りを体験した人は霊感が強いといったことに繋がってしまうのでしょう。

なぜ金縛りは起こるのか

健康な人の睡眠はノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(浅い眠り、夢を見るのはこの時間帯が多いようです)が約90分感覚で交互に訪れています。

レム睡眠時には筋肉が弛緩していますが、この時に意識だけが目覚めると身体は睡眠状態で意識が覚醒状態となってしまうアンバランスが生じてしまい、身体を動かそうとしても動かない状態になってしまうのです。

この状態は数十秒位から数分続きますが、何事もなかったように回復します。また誰かに声を掛けられたり、身体を触られたりすれば金縛り状態から解放されます。
これは身体が睡眠状態から覚醒状態へ変わるためですが、精神的には強いショックとして残ってしまうのです。

ナルコレプシー患者に多い金縛り

金縛りは睡眠が正常で健康体の人にはなかなか起こりません。10年に1度起これば多いほうで一生に1度も経験しない人もいるでしょう。
つまり金縛りが頻繁に起こる人は身体の異常を考えなければならないのです。

金縛りと最もよく関連をもつ病気がナルコレプシーです。
これは覚醒と睡眠という生体リズムが乱れてしまう病気で、10代から20代に多く睡眠時間が不規則な方が罹りやすいものです。

統計によると睡眠マヒはナルコレプシー患者の25%程にみられ週に1,2度起こるといわれています。
ですから「私は霊感が強い」などと言っているのではなく早めに専門医に相談することが大切なのです。

ナルコレプシー患者の症状

ナルコレプシーは別名「居眠り病」ともいわれており、日中突発的な眠気に襲われてしまうことが多いのです。
このことでよく間違われるのが睡眠時無呼吸症候群(SAS)ですが、SASが物理的な睡眠不足から起こるのに対しナルコレプシーは生体リズムの乱れから起こるもので治療法も異なりますから注意が必要です。

ナルコレプシーの症状をあげてみると次のようになります。

  • 睡眠と覚醒のリズムが乱れ1日の内に時間に関係なく睡眠と覚醒が訪れ日中の発作的な居眠りとなってしまいます。
  • 睡眠中のレム睡眠とノンレム睡眠のリズムも乱れてしまうため、通常では睡眠後90分位でくるレム睡眠が入眠直後に表れてしまいます。

この結果、普通は睡眠時で分からないレム睡眠時の身体の変化を半覚醒時に感じ取ってしまうため金縛り状態(睡眠マヒ)に陥ってしまうのです。
このためナルコレプシー患者の金縛りは入眠直後に多くなるのです。

ナルコレプシーの治療方法

日常生活での治療方法

先に述べましたようにナルコレプシーは不規則な睡眠時間も原因の一つとなっていますから、次のことを守らなければなりません。

  • 夜間睡眠の睡眠を安定させる。このため寝室や夜具を工夫し眠りやすい環境を整える。
  • 就寝・起床時間を決め、この時間を徹底する。
  • 日中の仮眠時間をとる。(30分位の仮眠を昼食後にとることが望ましいことです。)

薬による治療方法

薬による治療は当然医師の診断後のことになります。特に睡眠に関する薬は一般の薬に比べ服用する時間が重要になってきますので注意をしなければなりません。

ナルコレプシーの薬は、日中の眠気に対するものと睡眠時のレム睡眠関連の症状に用いる物の2つに分けられます。
日中の眠気に対してはペモリン、メチルフェニデートなどの中枢神経刺激剤を用いて眠気をとります。
脱力発作や金縛りなどに対しては、レム睡眠を減らすために塩酸クロミプラミンなどの抗うつ薬が有効です。

的確な治療による日常生活

金縛りが頻繁に起こる場合は自分の健康に異常があると考えられますから早めの受診が肝心です。
日中の居眠りなどは周囲からの反応が良くありません。社会から受ける精神的なダメージも大きくなってしまいます。

的確な治療を受けていれば、仕事を通常に行なうことやスポーツにも支障はありませんが、専門的な車両の運転や危険な場所での作業などは避けるべきですから会社の理解も必要となります。

会社や家族もナルコレプシーを理解すること

早期治癒を考え過ぎると精神的な焦りも出てしまいます。
特に日中の眠気はある種の後ろめたさを感じてしまいます。
しかし、焦燥感はかえって治療を遅らせてしまいますから、落ち着いた態度で治療してください。

会社や家族にとっては、治さなければならないと分かっていても居眠りをされると本人の意思が弱いと判断してしまうことが多いものです。
ですから身近にこの患者がいる場合は周囲の人たちもナルコレプシーを充分理解することが必要なのです。

ナルコレプシーの患者団体

ナルコレプシー患者には前述したように本人しか分からない悩みがあります。
こうした患者同士の悩みや情報交換の場として、平成15年に設立されたNPO法人ナルコレプシー協会(なるこ会)があります。

千葉県浦安市に事務局があり、インターネットからでも「なるこ会」で検索出来ますので患者の方や周囲に患者がいる方はアクセスしてはいかがでしょうか。

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