眠りについての自己評価

「眠れない」ことが病気であるとすると、では眠らないと一体どうなるのでしょう。

致死性家族性不眠症という眠れなくなる病気になると、昼も夜も眠れなくなり、1年もすると昏睡状態になります。
これは、眠りに関係する視床下部という脳の部位にタンパク質が蓄積して睡眠のコントロールができなくなる病気です。

逆にいえば、人間は身体と脳を休ませる為に、もともと眠るように出来ていて眠らずにはいられないようになっているのです。人間が意識せずに呼吸をするのと同じくらい自然に眠るようにできているのです。

起きている時間がある程度続くと、大脳を休ませようと睡眠中枢に働きかける物質が出てくるはずなのです。

十分に眠らない状態が長期間に及ぶと、だるい、やる気がでない等の不調がおこります。脳が休まらないと自律神経にも影響し、心にも不調を生じる事となります。

うつ病による自殺者の増加が問題となっている昨今ですが、うつ病だから眠れないのか、眠れないからうつ病を発症するのかは定かではありませんが、うつ病と不眠は密接な関係にあることは間違いありません。

ただ、同じ睡眠時間でも人によって満足のいく睡眠が得られたかどうかの評価は違います。
普段から8時間寝ないとすっきりしない人もいれば、3、4時間寝ただけですっきりする人もいます。

また、目が開いていても脳派は眠っている時と同じという場合がありますが、反対に目はつむっていても覚醒している事もあります。ただ目を閉じて横になっていても、「よく眠れた」とはなりません。

よく私の祖母が「眠れない、眠れない」となげいていましたが、一緒の部屋で寝ていると、グーグーいびきをかいて寝ているのです。
寝言を言ったりもしているので、「よかった。今日はよく眠れているんだな」と安心していると、翌朝やはり「昨夜も全く眠れなかった。」というのです。

ただ眠ることと「ぐっすり眠った」と睡眠について満足感を得られることは違うのだと、また眠りに対する客観的な評価と自己評価は違うのだ、と思いました。

この祖母に「いびきかいて良く寝てたわよ」と教えたとして、睡眠がしっかりとれていると思い安心して「それなら心配要らない。」と気持ちが楽になり不眠感が解消されれば良いですが、はたまたそれでも尚、満足いく睡眠を欲していれば、第三者が「良く寝てた」と言ったところで何の解決にもなりません。

因みにその事実を祖母に告げたところ、「あら、そうなの?」と実にあっけらかんと受け止めて、しばらくの期間は何もいいませんでしたが、しばらくするとやはり、「また、全然眠れない」と始まりました。
   
 実は、前述の不眠症の11種類の中の一つに「逆説性不眠症」あるいは「睡眠状態誤認」というのがあります。この不眠症の症状は、睡眠に対する自己評価が過度に低く、実際に眠れてはいても、「眠れなかった」と訴えるものです。

高齢者が、若かった時と比較して眠れていない事を生理的、身体的変化なのだと認識できずにいることが原因とされています。 

睡眠不足に対する過度の恐怖感を持っていることが多く、この治療法としては認知を変化させる為の対処がなされ、睡眠へのこだわりを軽減させていきます。

また別の種類の不眠症である「精神生理性不眠症」の診断基準のひとつに、
「睡眠について考えすぎ、強い不安を感じる」
という項目があります。

このタイプの不眠症の原因は、「はやく寝よう、寝ようと焦って、かえって脳が興奮して寝付けなくなるというものです。

初めは過度の不安やストレスがきっかけで眠れなかったものが、心理的な問題が解決しても不眠だけが続いて次第に睡眠に対して恐怖感を抱き、年中不眠の事ばかり考えてしまうようになってしまった不眠症です。
これらの不眠症には、不眠や不安の強い場合には抗不安薬と睡眠薬がだされます。

祖母の場合は、かかりつけの内科のお医者様から睡眠導入剤を処方されていますが、それでも年中「眠れない、眠れない」と訴えていて、「ぐっすり眠る」ことは一大問題です。

しかしながら、祖母のような場合でも眠れているのだから問題がない訳ではなく、れっきとした不眠症の1種類に分類されていることからもわかるように、本人がつらいならば、医療機関で治療を受ける事は適切なことなのです。

もっとも、不眠である事に強い恐怖感を持っているような不眠症の場合、実際は眠っているのだという事実を知ることで、すっかり良くなってしまうこともあります。
しかしそれも治療の結果であるので、ともかくつらいのであれば医療機関を受診しましょう。

ここで言いたいのは、精神睡眠の満足感は、人それぞれであり、睡眠の時間だけでは語れないのです。睡眠の満足度が長期間得られないでいるのなら、何かしら対策をとった方がよさそうですが、自分の眠りを客観的に認識するために、一度「睡眠日誌」をつけてみる事もよいのではないでしょうか。

「睡眠日誌」については、こちらで後述することにします。

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